夫の教えるA~Z
と、そこへ、当クラブでオバチャン達に、絶大な人気を誇る20代のイケメンインストラクター、汐田さんがやって来た。

ここだけの話。
この汐田さんは、

32歳で花の独身貴族、ハーレーを乗りこなす男勝りのクールビューティー、ナツコさんを絶讚口説き中なのだが、彼女は一向に相手にしない。

勿体無い話だ。

「あ、いたいた。
ナツコさ~~ん、次の教室始まっちゃいますよ~…やあ、大神さん」

キラリと白い歯を見せて爽やかに笑う、色黒スポーツ好青年だ。
しかしナツコさんは素っ気ない。

「あ~、ハイハイ。じゃあトーコちゃんまた明日……ドリンクは糖度低めにね」

ああっ!

彼女は私のマイ水筒の残りをクイッと飲み干すと、連れだって去って行った。

「ああ、大神さん。
今度僕の教室にも顔出してね」
「はーい」

汐田さんは、ナツコさんを口説き中。
なのに去り際には、私へのウインクも忘れない。

世の中はこんな男ばっかりなのだろうか……

「ん?……ウガッ、何これぇ~‼」

思いつつ、渡された予定表を見て私は衝撃をうけた。

ビッシリと予定の詰まったそれは、私をオリンピック選手にでもするつもりなんだろうか。
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