夫の教えるA~Z
その夜。

「ね~、見てくださいよ、ヒドイと思いませんか?」

お仕事から帰ったダンナサマに、私はスケジュール表をペラリと見せた。

「何なに?プールに筋トレ、ヒップホップに……ベリーダンスなんてのも…
ちっ、あの女…露出度が高いヤツばっか選びやがって…」

アキトさんは1つ舌打ちすると、徐に尋ねた。

「…おい、なんか余計な話はしてないだろうな」

「モッチロン!」
嘘だけど。

彼は私が実家へ寄り付くのを嫌う。
カッコつけの彼に、知られたくない事実が多い事は、だんだんと解ってきた。

しかし、だ。

ツマは不可解な貴方をもっと知りたい……


「いいか?ナツコ姉ちゃんには気を付けろ。
アイツは詐欺師だ。言うことは半分以上信じない方がいい」

「ほほう…」

よく言うよ、自分は天然タラシの癖に。

「それよりさ、今日の成果をみせてみろ。あの女が俺のトーコに手ぇ抜いてないか、しっかり検分してやろう」

「ま、まだ始めたバッカリですって!」

このように私は、厳しいお姉さまとキツいダンナサマに鍛えられる、ハードな日々を送っていた。
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