夫の教えるA~Z
フー…
彼女は溜め息を1つつき、首を振った。

「あのねえ、トーコちゃん。
世の旦那ってのはね、オクサンはガッチリ管理しといて、自分は適当に羽目を外している、小狡い生き物なの。
アナタも会社にいたんだったら分かるでしょう」

「…まあ、そういうヒトも居ましたが…」

「ましてや、エロバカタラシのアイツよ?
…どうせロクな事はしてないわ。」

「うっ、それは…」
否定できないのがカナシイ。

「私が汐田クンからのプロポーズを断り続けてる理由もソレ。旦那だけ自由で私が管理されるなんてゴメンだわ」

「プロポーズ…ひえ~~、もうそこまでいってたんですね」

「まあ、それはともかく」
彼女はコホンと咳払いを1つ、した。

キラリと瞳を輝かせ、私の両手を握りしめる。

「いいじゃないの。たった2時間。
人数合わせの飲み会くらい。
アイツが何か言うようなら、私がピシッと言ったげる‼ね、トーコちゃん、
コレは、自由への第一歩!
さあ、共に闘いましょう‼」

「は、はい!」

気がつけば私は、ナツコさんの手を強く握り返していた。
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