夫の教えるA～Z

てなわけで、不本意ながら何となくペアができた。
アキトさん＋もう１人VS女の子2人、銀行員VSナツコさん、タケル先輩VS私。

時間内の夫への接触(＝弁解)は、完全に諦めるしかなさそうだ。

とにかくこの2時間を波風立てず、平穏無事に過ごすことを目標と決めた。


しばらくは大人らしく、男女の思惑を孕んだ談笑が進められているが＿＿＿

正直私は気が気でない。

…い、いいんだ、目の前で旦那サマが女の子を侍らせていようとも、ちょっとキワドイジョークを飛ばそうとも。

隣の先輩にガハハ笑いをされながら、首絞められていようとも。
あることないこと、学生時代のバカ話を暴露されていようとも。

私は、ひたすら耐えるのみ。

だけれども。

ちょっとアナタ、近いんでないの？
ねぇ、耳元でコソコソ話とか、止めようよ。奥さんの前だよ？

お姉さん逹、膝くっ付けすぎじゃない？　太股辺りのボディタッチは、あからさますぎじゃあないですか？

ソコはトーコの専用なので……

ちっとも酔えないカクテルをガパッと空けると、隣のウザ男が肩を抱いてくる。

「赤野ぉ、テメエ、見ないうちにカワイくなったよなぁ…」
「ははは……」

オサワリは禁止でお願いします。

向かいからの、射るような視線がコワイのよ。