夫の教えるA~Z
そんな私の忍耐も虚しく。
明らかに偏ったまま一向にシャッフルされない女の子に、業を煮やした隣の男が余計な提案をした。
「よ~し、なんかゲームしよっ、ゲーム‼」
ウゲッ、冗談じゃない!
「せせ、先輩。我々もう、ティーンエイジャーじゃないんですから……」

「えー、いいじゃねぇの。トーコ好きだったじゃんか、ホラ例の……『王様ゲーム』!」

ヤメロオオオオ‼

あの、アンタが昔エロい命令しまくって嫌われてたやつじゃないの!好きだったこと1回もネエし。

「や、やだなあ先輩、そんなの、もう古いですよ~ね、皆さん?」
 
エ~どうする~、大神サン。

私は縋るような目で、妙に発言権を得ている夫を見た。

(ねぇ、アナタもいい年こいてそんなコトやりたくないよね?)

彼が首を傾けた。

「…いいですね、やりましょう」

この、バカ旦那~~!
 
キャーーッ。
鶴の一声だった。部屋に響く黄色い声は、一体何を期待しているんだろうか。
< 72 / 337 >

この作品をシェア

pagetop