夫の教えるA~Z
K 仲直りは鉄板
今日は日曜日だ。

この4月から社会人の仲間入り、フレッシュ・サラリーマンの松田俊紀(マツダトシキ、23歳、恋人募集中!)は、とあるドアの前で立ち止まっていた。
市内のマンションの2510号室。

彼の勤務する大手製造メーカー、(株)三鷹ホールディングス北九州支社の、大神支社長のお住まいである。


せっかくのお休みなのに…
僕が訪ねていったら、支社長は気を悪くするかもしれない。
お叱りを喰らってしまう可能性だってある。

でも……
昨日偶然見知ってしまったあの案件。

ボクはどうしてもそれを、支社長に直接会ってお伝えしなければならない!

決意を新たに拳を握る。


しかし、不用心な家だな。
確かに今日は9月にしては暑いんだが、思いっきりドアが開いている。

まあいいや。

ボクは思いきってドアホンを鳴らした。

♪ピンポーン♪

アレ?誰も出ない……
おかしいな?扉も開いて、奥の方から物音だって聞こえるのに……

ボクは奥に向かって呼び掛けた。緊張で声が裏返る。


「あの、経理部の松田俊紀ですっ!
今日は大事なお話があって参りました!支社長っ、大神シシャチョー‼」

 
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