夫の教えるA~Z
「な、な、何を考えておられるんですか、カチョ…じゃなくて旦那サマは!」

あのクール怖ろしかったカチョーが、朝も早くから、不埒なジョークを仰せになっている。

私は狼狽え、ろくなツッコみも出来ずにマトモな反応を返した。

しかし、彼は真顔でもっともらしいコトを言い始めた。

「今朝の日経新聞に書いてあった。
やっぱり、海外に打って出る為には、経営者はワールド・スタンダードな感覚を身に付ける事が必要なんだと」

「ワイルドスター?何ですかそれは…外国の方に怒られますよ!」

「ホラだってさ、よく洋画とかでやってるじゃないか」

「あなた様がどんな金髪美人とお付き合いしてきたか知りませんが…」

「なんだトーコ、妬いてるのか?」

「や、妬いちゃあいませんっ!
あのね、私はレッキとしたヤマトナデシコ!
ホっぺにチュー、はまだしもお口は無理…」

< 9 / 337 >

この作品をシェア

pagetop