青春グラフィティー*先生と生徒の関係。
先生と駅で遭遇。
あっ、と思ってそっちを見れば、ちょうど相手もあたしの方に気づいたのか、バチッと視線が合った。
「せんせー、おはようございまーす」
「…はぁ、おはようございます」
「朝から溜め息吐くとか1日テンションダダ下がりだよ?」
「溜め息の原因がそれを言うとは…」
先生のその言葉にへらりと笑って見せれば、眉間に皺を寄せられた。
「それよりもせんせーっていつもあの電車使ってましたっけー?」
「いつも使っているのは人身事故で遅延になったんですよ」
「ふぅん」
「あなたこそ今日は早いですね」
「あー、今日は早くに無理矢理起こされて、いつもより早めに家を出たんですよー」
「あなたのお母さんも大変ですね」
こんな娘を朝から起こさなくちゃいけないなんて。
と、溜め息混じりに言ってくる先生。
そんな先生の言葉にあたしは首を傾げる。
「起こしてくれたのお母さんじゃないよ?」
「は?」
「え?」
「…じぁ、お母さんじゃないなら誰ですか」
「えっとね、お兄ちゃんみたいな人?」
「なんで疑問系なんですか…」
「だって関係性がよくわかんないから」
笑いながら言えば、先生は眉間に寄せていた皺をもっと濃くする。
そんなに皺寄せたら、皺が取れなくなっちゃうよ。
そう言ったらきっと雷が落ちるんだろうな。
「無理矢理起こされてイライラしてたけど、裕太せんせーと駅から一緒に登校出来たのは嬉しいかなぁ」
「俺は別に嬉しくないですけどね」
ふんっと鼻を鳴らしてそっぽを向いた先生。
そんな先生と下駄箱の少し手前で別れる。
教師と生徒の下駄箱は場所が違うところにある。
下駄箱で上履きに履き替えて教室に向かえば、案の定誰もいない。
「まだ7時になったばかりだしね」
やっぱり保健室に行こっと。
さっき別れたばっかだけど。