青春グラフィティー*先生と生徒の関係。
先生には彼女さんがいるようです?
「ねぇねぇ!すっごいスクープ!」
「なんと十河先生が先週末、めっちゃ美人なスタイルの良い人と腕組んで仲よさ気に繁華街を歩いてたみたい!」
クラスの中心的な女子の言葉に、ふぅんと頷くあたし。
この前、先生に彼女がいるとかいないとかで話し合ってたなと思い出して、苦笑いが零れる。
「隣のクラスの佐藤くんが部活帰りに見たんだって!」
はて?佐藤くんとは誰だろう?
そう思いながら隣の席の男子を見る。
「ねぇー、池田くんは裕太せんせーに彼女いたの知ってたー?」
「…俺も今初めて知ったんだけど」
「やっぱり?せんせーは彼女がいるから、あたしの好きを受け入れてくれないのかねー?」
「…俺に聞くなよ。けど、彼女持ちの男からしたら、言い寄られるのは面倒くさいかもな」
「…あー」
「だからお前はもうあの先生に構うのは止めろよな」
「そうだけどさ、なんで池田くんが決めつけるのさー」
「…悪いかよ」
「べつにー?」
そっか。
先生には本当に彼女がいたのか。
池田くんが言う通り、彼女持ちの先生からしたらあたしみたいな奴に絡まれるのは面倒くさいかもしれないね。
だから、いつもあたしと話してる時は眉間に皺が寄ってたのかもね…。
自嘲的に笑っていたあたしに池田くんは訝し気に視線を寄越してきた。
「そうだね。さすがに彼女持ちの人には必要以上に話しかけないよ。だって、彼女さんが嫌がるだろうし」
「だろうな。それが賢明だな」
あたしの頭をくしゃりと撫でた池田くん。
先生と喋れなくなるのは嫌だけど、あたしが纏わりつくみたいにしてても彼女さんは嫌がるだろうし、先生もきっと面倒くさいだろう。
「そう言えば次の授業は保体で十河先生来るはずだよね!?」
「その時先生に聞けばいいよね!」
きゃっきゃ騒ぐ女子二人組を一瞥するとすぐに視線を窓の外にやった。