ツインクロス
(あ…。見つけた…)
冬樹は大きな瞳をまん丸にして、その自分の名前が書かれているのを眺めていた。
「ちょっとちょっとォーーっ!?冬樹チャン凄いじゃないっ!5位とかっ!!有り得ない順位じゃないのっ!!」
変に長瀬が興奮している。
周囲のクラスメイト達も「すげーじゃん!野崎っ!」「やったな」「おめでと!」…などと、声を掛けてくれる。それらの声に、照れながらも「サンキュ…」と返しつつ、その他の名前に目を奔らせていた。
「凄いな…冬樹、やるなぁ…」
雅耶が笑って声を掛けて来た。
「サンキュ。雅耶は?どうだった?」
「俺は…18位だって。俺的には十分、大健闘だよっ」
嬉しそうに笑って言った。
「…ホントだ。やったなっ」
二人で笑い合っている所に、長瀬が口を尖らせて間に入って来た。
「お前らズルいっ!…っていうかーっ冬樹チャン凄すぎだよ。何なのーーっ?」
恨めしそうに睨まれる。
(だって、オレ…成績だけでこの学校入ったんだもん…。これで成績悪かったら何言われるか分かんないって…)
中学ではサボってばかりだった冬樹の内申点は、実は出席日数だけでも最悪な状態だった。
成蘭はそれなりに偏差値も高い学校だが、ある意味勉強に関しても、スポーツに関しても実力主義なところがあることで有名な学校である。その為、内申が悪くても成績は良かった冬樹は、試験で満点を取る位の実力を見せられれば、合格出来ると中学の担任に進められ、受験して何とか合格を果たしたのだった。
勿論それを実現させる為には、多大な努力を必要としたが。
「…そう言う長瀬は何位だったんだよ?」
長瀬に恨みがましくにじり寄られ、苦笑いを浮かべながら困っている冬樹に、助け舟を出すように雅耶が話を振った。
「う…。………188位…」
語尾が小さくなる長瀬に、
「何だ、ちゃんと載ってるんじゃん。半数以上に入ってるんだから全然大丈夫じゃないか」
雅耶が爽やかに笑ってフォローを入れる。
「うー…。まぁね…。まぁ…良いんだよっ。自分的には俺もオッケーだし。何よりこれでやっと待ちに待った夏休みがやって来るんだからさっ♪」
どうやら浮上したようだ。
冬樹は長瀬の復活の早さに、可笑しくなって思わずクスッ…と笑った。
すると…。
「「「……っ!!」」」
長瀬や雅耶を含む周囲の生徒達がビシッ…と、一瞬動きを止めた。
「?」
何故か、皆がこちらを見下ろして固まっている。
心なしか皆、頬が赤い。
「…?…どうした?」
冬樹が不思議そうに首を傾げていると、いち早く我に返った雅耶が、
「い…いや…、何でもないっ」
掌をひらひらさせて笑って言った。
周囲の生徒達も、何故か皆が変な作り笑いを浮かべていた。
冬樹は大きな瞳をまん丸にして、その自分の名前が書かれているのを眺めていた。
「ちょっとちょっとォーーっ!?冬樹チャン凄いじゃないっ!5位とかっ!!有り得ない順位じゃないのっ!!」
変に長瀬が興奮している。
周囲のクラスメイト達も「すげーじゃん!野崎っ!」「やったな」「おめでと!」…などと、声を掛けてくれる。それらの声に、照れながらも「サンキュ…」と返しつつ、その他の名前に目を奔らせていた。
「凄いな…冬樹、やるなぁ…」
雅耶が笑って声を掛けて来た。
「サンキュ。雅耶は?どうだった?」
「俺は…18位だって。俺的には十分、大健闘だよっ」
嬉しそうに笑って言った。
「…ホントだ。やったなっ」
二人で笑い合っている所に、長瀬が口を尖らせて間に入って来た。
「お前らズルいっ!…っていうかーっ冬樹チャン凄すぎだよ。何なのーーっ?」
恨めしそうに睨まれる。
(だって、オレ…成績だけでこの学校入ったんだもん…。これで成績悪かったら何言われるか分かんないって…)
中学ではサボってばかりだった冬樹の内申点は、実は出席日数だけでも最悪な状態だった。
成蘭はそれなりに偏差値も高い学校だが、ある意味勉強に関しても、スポーツに関しても実力主義なところがあることで有名な学校である。その為、内申が悪くても成績は良かった冬樹は、試験で満点を取る位の実力を見せられれば、合格出来ると中学の担任に進められ、受験して何とか合格を果たしたのだった。
勿論それを実現させる為には、多大な努力を必要としたが。
「…そう言う長瀬は何位だったんだよ?」
長瀬に恨みがましくにじり寄られ、苦笑いを浮かべながら困っている冬樹に、助け舟を出すように雅耶が話を振った。
「う…。………188位…」
語尾が小さくなる長瀬に、
「何だ、ちゃんと載ってるんじゃん。半数以上に入ってるんだから全然大丈夫じゃないか」
雅耶が爽やかに笑ってフォローを入れる。
「うー…。まぁね…。まぁ…良いんだよっ。自分的には俺もオッケーだし。何よりこれでやっと待ちに待った夏休みがやって来るんだからさっ♪」
どうやら浮上したようだ。
冬樹は長瀬の復活の早さに、可笑しくなって思わずクスッ…と笑った。
すると…。
「「「……っ!!」」」
長瀬や雅耶を含む周囲の生徒達がビシッ…と、一瞬動きを止めた。
「?」
何故か、皆がこちらを見下ろして固まっている。
心なしか皆、頬が赤い。
「…?…どうした?」
冬樹が不思議そうに首を傾げていると、いち早く我に返った雅耶が、
「い…いや…、何でもないっ」
掌をひらひらさせて笑って言った。
周囲の生徒達も、何故か皆が変な作り笑いを浮かべていた。