ツインクロス
雅耶は思いもよらなかった彼女の独白に、少なからず驚きつつも。
「そ…っか…。そうだね…。確かに俺が…全部悪いよね…」
そう、僅かに肩を落として呟いた。
彼女を傷つけること位、ずっと分かっていたのに。
いつまでもこの状態に甘んじて、答えを出すことから逃げていたのは自分だから。
泣き続ける唯花に、雅耶は深く頭を下げた。
「唯花ちゃん、今迄…本当にごめん…。こんな時に言うのは、本当にズルイと思うし、最低だと思うけど。やっぱり俺は…キミと付き合うことは出来ないよ」
そう言うと、唯花は顔を覆ったままビクリ…と、動いた。
「本当は、もっと早く伝えるべきだったんだ。だけど、俺はずっと逃げてた。それで余計にキミを傷つけて…。本当に最低だと思う」
雅耶の言葉に、唯花は泣きながらも僅かに顔を上げた。
「冬樹のことは…唯花ちゃんとの事とは関係ないし、あいつはそんなんじゃないけど…。でも、俺にとって特別な奴には変わりないんだ。だから、やっぱり放ってなんか置けない。もう…後悔はしたくないから…」
雅耶は今、思っている自分の気持ちを正直に口にした。
『もう、後悔はしたくない』という言葉の意味は、唯花には分からなかったが。
「だから…そんな俺の行動が唯花ちゃんを傷つけていたなら、本当にごめんね…」
雅耶はそう言うと、涙を零しながらもこちらを見詰めている唯花に、
「少しの間だったけど、楽しかったよ。ありがとう…」
そう言って、もう一度軽く頭を下げると、その場を後にした。
残された唯花は、雅耶の後ろ姿が見えなくなると、再び両手で顔を覆ってその場に泣き崩れた。
雅耶は店の外に出ると、すぐに携帯で直純に連絡を取った。
唯花が見たという状況を全て直純に報告して電話を切ると、再び冬樹の携帯に電話を掛けてみる。が、やはり呼び出し音が鳴り続けるだけだった。
「くそっ…」
雅耶は苛立ち気に電話を切ると、とりあえず駅へと向かう。
『まだ、必ずしも連れ去られたと決まった訳じゃない』
状況を話した時に、直純先生が言った言葉。
『具合が悪くて倒れた冬樹を、介抱してくれた親切な人がいたのかも知れないし、あるいは、接触事故を起こしてしまい病院へ運んだという可能性もある』
その可能性を考慮して、この周辺の病院へは先生が連絡を取って確かめてくれるという。
(悪い方にばかり考えても仕方ない…。俺はとりあえず、冬樹の家に行ってみよう…)
そう決めると、雅耶は居ても立っても居られず駆け出した。
「そ…っか…。そうだね…。確かに俺が…全部悪いよね…」
そう、僅かに肩を落として呟いた。
彼女を傷つけること位、ずっと分かっていたのに。
いつまでもこの状態に甘んじて、答えを出すことから逃げていたのは自分だから。
泣き続ける唯花に、雅耶は深く頭を下げた。
「唯花ちゃん、今迄…本当にごめん…。こんな時に言うのは、本当にズルイと思うし、最低だと思うけど。やっぱり俺は…キミと付き合うことは出来ないよ」
そう言うと、唯花は顔を覆ったままビクリ…と、動いた。
「本当は、もっと早く伝えるべきだったんだ。だけど、俺はずっと逃げてた。それで余計にキミを傷つけて…。本当に最低だと思う」
雅耶の言葉に、唯花は泣きながらも僅かに顔を上げた。
「冬樹のことは…唯花ちゃんとの事とは関係ないし、あいつはそんなんじゃないけど…。でも、俺にとって特別な奴には変わりないんだ。だから、やっぱり放ってなんか置けない。もう…後悔はしたくないから…」
雅耶は今、思っている自分の気持ちを正直に口にした。
『もう、後悔はしたくない』という言葉の意味は、唯花には分からなかったが。
「だから…そんな俺の行動が唯花ちゃんを傷つけていたなら、本当にごめんね…」
雅耶はそう言うと、涙を零しながらもこちらを見詰めている唯花に、
「少しの間だったけど、楽しかったよ。ありがとう…」
そう言って、もう一度軽く頭を下げると、その場を後にした。
残された唯花は、雅耶の後ろ姿が見えなくなると、再び両手で顔を覆ってその場に泣き崩れた。
雅耶は店の外に出ると、すぐに携帯で直純に連絡を取った。
唯花が見たという状況を全て直純に報告して電話を切ると、再び冬樹の携帯に電話を掛けてみる。が、やはり呼び出し音が鳴り続けるだけだった。
「くそっ…」
雅耶は苛立ち気に電話を切ると、とりあえず駅へと向かう。
『まだ、必ずしも連れ去られたと決まった訳じゃない』
状況を話した時に、直純先生が言った言葉。
『具合が悪くて倒れた冬樹を、介抱してくれた親切な人がいたのかも知れないし、あるいは、接触事故を起こしてしまい病院へ運んだという可能性もある』
その可能性を考慮して、この周辺の病院へは先生が連絡を取って確かめてくれるという。
(悪い方にばかり考えても仕方ない…。俺はとりあえず、冬樹の家に行ってみよう…)
そう決めると、雅耶は居ても立っても居られず駆け出した。