ツインクロス
「………出ないな…」
雅耶は部活を終えて帰宅すると、自室から携帯で冬樹に電話を掛けてみるが、なかなか出る様子がない。学校を出る前に一度メールで連絡を入れたのだが、その返事も来ていなかった。
(冬樹の奴…何してるんだ?まだ寝てる…なんてことは流石に無いよな?…ったく。昨日の今日で、心配になるだろっ?)
若干イライラしながら雅耶は着替えを終えると、再び冬樹の携帯に電話をしてみる。携帯を片手に、無意識に部屋の中を行ったり来たりしながら、鳴り続ける呼び出し音に耳を傾けていた雅耶だったが、ふと何気なく外に視線を向けたその時だった。
「…あれっ?」
(野崎の家の窓が開いてる…)
普段は雨戸を閉め切ったままの庭に面した大きな窓が、網戸になっていることに気付いた。
よく見ると、一階の窓は全て開かれている。
(もしかして、冬樹か…?)
雅耶は、携帯を手に持ったまますぐに階下へ降りると、玄関から外へと出た。野崎の家の庭へと回り、その大きな窓の網戸越しにリビングを覗いてみる。
「冬樹ー?居るのか?」
だが、冬樹の姿は見当たらず、返事もない。
雅耶は玄関の方へと回ると、そっと…その扉を開けた。
そこには、冬樹の靴らしき物が一足だけ揃えて置いてあった。
(冬樹だと思って勝手に入って、実は親戚の人だったとか、シャレになんないよな…)
雅耶は慎重になると「すみませーん」とか言いながら暫く玄関で待っていたが、あまりにも返事が無いので逆に心配になり、「お邪魔しまーす」と、靴を脱いで家の中へと上がっていった。
「冬樹ー?」
リビングを覗いてみるが、やはり誰もいない。だが、テーブルの上にはバッグが置いてあり、何かを取り出した後なのか開いたままになっていた。その中に冬樹の携帯を見付けて、やはり冬樹が来ていることに確信を持った雅耶は、冬樹の姿を捜して歩き出した。
廊下へと出た所で、ふと…以前来た時に冬樹が倒れていた部屋のことを思い出して、雅耶はその書斎へと向かった。すると、そこは扉が開いたままになっていて、中に僅かに明かりが灯っていた。
「冬樹ーっ?」
雅耶は廊下から部屋を覗きながら、冬樹の名を呼んでみる。
すると、ガタッ…と奥から音がして。
「…まさ…や…?」
冬樹が思わぬ隙間から、驚いたように顔を出した。
だが、その表情は…。
「冬樹…?…泣いてるのか…?」
雅耶は部活を終えて帰宅すると、自室から携帯で冬樹に電話を掛けてみるが、なかなか出る様子がない。学校を出る前に一度メールで連絡を入れたのだが、その返事も来ていなかった。
(冬樹の奴…何してるんだ?まだ寝てる…なんてことは流石に無いよな?…ったく。昨日の今日で、心配になるだろっ?)
若干イライラしながら雅耶は着替えを終えると、再び冬樹の携帯に電話をしてみる。携帯を片手に、無意識に部屋の中を行ったり来たりしながら、鳴り続ける呼び出し音に耳を傾けていた雅耶だったが、ふと何気なく外に視線を向けたその時だった。
「…あれっ?」
(野崎の家の窓が開いてる…)
普段は雨戸を閉め切ったままの庭に面した大きな窓が、網戸になっていることに気付いた。
よく見ると、一階の窓は全て開かれている。
(もしかして、冬樹か…?)
雅耶は、携帯を手に持ったまますぐに階下へ降りると、玄関から外へと出た。野崎の家の庭へと回り、その大きな窓の網戸越しにリビングを覗いてみる。
「冬樹ー?居るのか?」
だが、冬樹の姿は見当たらず、返事もない。
雅耶は玄関の方へと回ると、そっと…その扉を開けた。
そこには、冬樹の靴らしき物が一足だけ揃えて置いてあった。
(冬樹だと思って勝手に入って、実は親戚の人だったとか、シャレになんないよな…)
雅耶は慎重になると「すみませーん」とか言いながら暫く玄関で待っていたが、あまりにも返事が無いので逆に心配になり、「お邪魔しまーす」と、靴を脱いで家の中へと上がっていった。
「冬樹ー?」
リビングを覗いてみるが、やはり誰もいない。だが、テーブルの上にはバッグが置いてあり、何かを取り出した後なのか開いたままになっていた。その中に冬樹の携帯を見付けて、やはり冬樹が来ていることに確信を持った雅耶は、冬樹の姿を捜して歩き出した。
廊下へと出た所で、ふと…以前来た時に冬樹が倒れていた部屋のことを思い出して、雅耶はその書斎へと向かった。すると、そこは扉が開いたままになっていて、中に僅かに明かりが灯っていた。
「冬樹ーっ?」
雅耶は廊下から部屋を覗きながら、冬樹の名を呼んでみる。
すると、ガタッ…と奥から音がして。
「…まさ…や…?」
冬樹が思わぬ隙間から、驚いたように顔を出した。
だが、その表情は…。
「冬樹…?…泣いてるのか…?」