ツインクロス
大倉達以外に、データを狙っている人物。
そう考えた時…。
不意に、昨日自分を助けてくれた二人組のことが頭に浮かんだ。
(そうだ。あの人達は事情を知っているみたいだったし、もしかしたら…?)
悪い人達だとは思えないけれど、大倉達の行動を阻止しようとして持って行ったという可能性も有り得なくはない。
それに…何故だろう。
何かを思い出しそうで思い出せない…そんな感覚…。
『怖い思いをしたね…。でも、もう大丈夫だよ』
そう言って、ふわり…と頭を撫でられた、あの感覚。
優しい声だった。
…知らない声。
だけど、何処か懐かしいような…?
去り際に『…またね』…と言った。
また、会う機会があるとでもいうのだろうか…?
姿を見せることを嫌うように、風のように去って行ってしまった人物。
(あの人は、いったい…誰なんだろう…?)
その時だった。
「…ぃ…。おいっ…冬樹ってば!!」
「ぅわっ!」
突然、目の前に現れた雅耶のアップに思いっきり驚いて、冬樹はソファの背もたれへと倒れ込んだ。
(超!びっくりしたっ!!)
目をまん丸にして、未だに後ろに寄り掛かったまま固まっている冬樹に。
雅耶は「ぼーっとしてるからだよ」と、言って笑った。
だが内心では、その拒否反応のような大きなリアクションに、
(…そんなに大袈裟な程に避けなくたって良いのに…)
と、少しばかり傷付いていたのだが。
「ご…ゴメン。少し…ぼーっとしてた…よな?」
ちょっと不貞腐れてるっぽい雅耶に、控えめに声を掛けると、
「してた。俺が話し掛けても全然聞いてないんだもんなー」
雅耶は腕を組んでワザとらしく、ぷいっ…と横を向いた。
そんな様子が、何だか子どもっぽくて可笑しくて。
冬樹は、くすくす笑うと言った。
「悪かったって…。謝るからさ、拗ねるなよ」
先程から、どこか遠い目をして何かを考え込んでいるような冬樹の様子を見ていて、少し心配をしていた雅耶だったが、今目の前にいる冬樹は、明るい笑顔を見せている。
少しでも元気を取り戻せた気がして。
(…これはこれで良し。だな)
と、雅耶は内心で、ほくそ笑んでいた。
そう考えた時…。
不意に、昨日自分を助けてくれた二人組のことが頭に浮かんだ。
(そうだ。あの人達は事情を知っているみたいだったし、もしかしたら…?)
悪い人達だとは思えないけれど、大倉達の行動を阻止しようとして持って行ったという可能性も有り得なくはない。
それに…何故だろう。
何かを思い出しそうで思い出せない…そんな感覚…。
『怖い思いをしたね…。でも、もう大丈夫だよ』
そう言って、ふわり…と頭を撫でられた、あの感覚。
優しい声だった。
…知らない声。
だけど、何処か懐かしいような…?
去り際に『…またね』…と言った。
また、会う機会があるとでもいうのだろうか…?
姿を見せることを嫌うように、風のように去って行ってしまった人物。
(あの人は、いったい…誰なんだろう…?)
その時だった。
「…ぃ…。おいっ…冬樹ってば!!」
「ぅわっ!」
突然、目の前に現れた雅耶のアップに思いっきり驚いて、冬樹はソファの背もたれへと倒れ込んだ。
(超!びっくりしたっ!!)
目をまん丸にして、未だに後ろに寄り掛かったまま固まっている冬樹に。
雅耶は「ぼーっとしてるからだよ」と、言って笑った。
だが内心では、その拒否反応のような大きなリアクションに、
(…そんなに大袈裟な程に避けなくたって良いのに…)
と、少しばかり傷付いていたのだが。
「ご…ゴメン。少し…ぼーっとしてた…よな?」
ちょっと不貞腐れてるっぽい雅耶に、控えめに声を掛けると、
「してた。俺が話し掛けても全然聞いてないんだもんなー」
雅耶は腕を組んでワザとらしく、ぷいっ…と横を向いた。
そんな様子が、何だか子どもっぽくて可笑しくて。
冬樹は、くすくす笑うと言った。
「悪かったって…。謝るからさ、拗ねるなよ」
先程から、どこか遠い目をして何かを考え込んでいるような冬樹の様子を見ていて、少し心配をしていた雅耶だったが、今目の前にいる冬樹は、明るい笑顔を見せている。
少しでも元気を取り戻せた気がして。
(…これはこれで良し。だな)
と、雅耶は内心で、ほくそ笑んでいた。