ツインクロス
「ごめん、雅耶…。折角誘ってくれたのに…余計なこと言った」
泣き笑いのような顔を見せる冬樹に。
「馬鹿。余計なことなんかじゃないだろ?…お前はずっと、その気持ちをを一人で抱え込んで来たんだから。俺こそ察してやれなくて、ホント無神経でごめんな…」
冬樹の方を向き直って、雅耶は僅かに頭を下げた。すると、
「…何でお前が謝るんだよ」
冬樹はそう言って「お前は、お人好し過ぎるよ…」と、呆れたように小さく笑った。
何だかお互いに、少しブルーになってしまったけれど…。
でも俺は、冬樹が自分から本音を話してくれたことが嬉しかった。
「でも、…やっと分かったよ」
「…え?」
「こないだお前が言ってた『夏樹はもう、海は好きじゃないかも』っていうのは、お前の気持ちそのものだったんだな…」
冬樹は何のことを言っているのか分からないのか、固まっている。
「この前、話したろ?夏樹が好きだった海の絵のポスターのことでさ…」
「あ…ああ…」
冬樹はドキリ…とした。
まさか、あんなことをいつまでも雅耶が覚えているなんて思ってもみなかったから。
だが、雅耶は動揺している冬樹の様子に特に気付く様子もなく、普通に言葉を続けた。
「ずっと…気になっていたんだ。どうしてお前が突然、あんなことを言ったのか…」
雅耶は冬樹から視線を海へと移すと、遠い目をした。
「でも夏樹の気持ちを考えたら、さ…。やっぱりお前の言うとおり、きっと海は怖いって…思うよな。きっと、もう…海に潜りたいなんて言わないだろうな…」
「…雅耶…」
切なげに目を細めている雅耶の横顔を、冬樹は見詰めていた。
『ボクが大きくなったら、きっと、なつきをこんな場所へつれて行ってあげるよっ』
遠い昔…、雅耶と交わした約束。
「昔から、お前達二人は意見がぶつかることもなく、いつだって一緒で…気持ちは繋がっていたもんな。きっと、今だってお互いを解り合えているんだろうな…」
「………」
「それだからかな…。最近、お前を見てると…」
そこで、雅耶が言葉を詰まらせる。
言うか言うまいか、迷っている様な雰囲気だった。
だが、雅耶はそっと瞳を伏せると、ゆっくりと口を開いた。
「お前と夏樹が…、すごくダブって見えるんだ」
ゆっくりと雅耶がこちらに向き直るのが、まるでスローモーションのように見えた…気がした。
泣き笑いのような顔を見せる冬樹に。
「馬鹿。余計なことなんかじゃないだろ?…お前はずっと、その気持ちをを一人で抱え込んで来たんだから。俺こそ察してやれなくて、ホント無神経でごめんな…」
冬樹の方を向き直って、雅耶は僅かに頭を下げた。すると、
「…何でお前が謝るんだよ」
冬樹はそう言って「お前は、お人好し過ぎるよ…」と、呆れたように小さく笑った。
何だかお互いに、少しブルーになってしまったけれど…。
でも俺は、冬樹が自分から本音を話してくれたことが嬉しかった。
「でも、…やっと分かったよ」
「…え?」
「こないだお前が言ってた『夏樹はもう、海は好きじゃないかも』っていうのは、お前の気持ちそのものだったんだな…」
冬樹は何のことを言っているのか分からないのか、固まっている。
「この前、話したろ?夏樹が好きだった海の絵のポスターのことでさ…」
「あ…ああ…」
冬樹はドキリ…とした。
まさか、あんなことをいつまでも雅耶が覚えているなんて思ってもみなかったから。
だが、雅耶は動揺している冬樹の様子に特に気付く様子もなく、普通に言葉を続けた。
「ずっと…気になっていたんだ。どうしてお前が突然、あんなことを言ったのか…」
雅耶は冬樹から視線を海へと移すと、遠い目をした。
「でも夏樹の気持ちを考えたら、さ…。やっぱりお前の言うとおり、きっと海は怖いって…思うよな。きっと、もう…海に潜りたいなんて言わないだろうな…」
「…雅耶…」
切なげに目を細めている雅耶の横顔を、冬樹は見詰めていた。
『ボクが大きくなったら、きっと、なつきをこんな場所へつれて行ってあげるよっ』
遠い昔…、雅耶と交わした約束。
「昔から、お前達二人は意見がぶつかることもなく、いつだって一緒で…気持ちは繋がっていたもんな。きっと、今だってお互いを解り合えているんだろうな…」
「………」
「それだからかな…。最近、お前を見てると…」
そこで、雅耶が言葉を詰まらせる。
言うか言うまいか、迷っている様な雰囲気だった。
だが、雅耶はそっと瞳を伏せると、ゆっくりと口を開いた。
「お前と夏樹が…、すごくダブって見えるんだ」
ゆっくりと雅耶がこちらに向き直るのが、まるでスローモーションのように見えた…気がした。