ツインクロス
「お前、ろくに冬樹チャンと話せてないんじゃないの?」
急に真面目な顔で聞いてきた長瀬に。
「うーん…。全然ってことはないけど、まぁ…あまり…」
少し前のように、ゆっくりと二人で話す時間がないのは確かだった。
「あいつ、ちょっと雅耶にライバル意識燃やしてるっぽいし、気を付けた方がいいぞ」
「…ライバル…?」
長瀬から出た意外な言葉に、雅耶は首を傾げた。
「そう。ライバル!冬樹チャンの親友の座を争ってのな。いや、それ以上のかも知れないぞー?」
「『それ以上』って…?どういう意味だよ?」
言っている意味が分からなくて雅耶が聞き返すと「うーん…?何だろうな?」…と、とぼけた返事が返ってきた。
「また、適当なことばっかり言って…」
そう言ってお互い笑い合っていたが、長瀬の言いたい意味も何となく分かるような気がした。
長瀬は冬樹が、実は女の子の夏樹であるということを知らない。
でも、何となく俺の中で『冬樹』という存在が親友以上のものであることを漠然とだが感じているのだろう。
(でも、コイツの場合…本気で人のことをホモだと思ってそうで怖いな…)
雅耶は心の中で苦笑した。
「お先に失礼しまーすっ」
今日のバイトを終え、賄いもご馳走になった後、冬樹は『Cafe & Bar ROCO』を後にした。
店を出て、そのまままっすぐ家へと向かおうとした冬樹は、店の向かいに思わぬ人物の姿を見つけた。
「……まさや…?」
雅耶は店から出て来た冬樹に気付くと、笑顔で軽く手を上げた。
「…どうしたんだよ?こんな時間に?」
不思議そうに見上げる冬樹に、雅耶は笑って言った。
「この近くの本屋に用があってさ。丁度冬樹終わる時間かなって思ったから待ってた」
そう言って、手に持っていた本屋のロゴの入った袋を軽く掲げて見せた。
「一緒に帰ろうぜ。…っていうか送ってくよ」
普通に考えたら、男が男に言うセリフではないそれを雅耶はサラッ…と言ってのけた。
その言葉に、冬樹は最初物言いたげな顔をしていたが。
「最近、学校ではゆっくり話も出来ないしさ。一緒に歩きたかったんだ」
と、人懐っこい笑顔で言われて「…そうだな…」と、素直に微笑みを返すと、一緒に歩き出した。
急に真面目な顔で聞いてきた長瀬に。
「うーん…。全然ってことはないけど、まぁ…あまり…」
少し前のように、ゆっくりと二人で話す時間がないのは確かだった。
「あいつ、ちょっと雅耶にライバル意識燃やしてるっぽいし、気を付けた方がいいぞ」
「…ライバル…?」
長瀬から出た意外な言葉に、雅耶は首を傾げた。
「そう。ライバル!冬樹チャンの親友の座を争ってのな。いや、それ以上のかも知れないぞー?」
「『それ以上』って…?どういう意味だよ?」
言っている意味が分からなくて雅耶が聞き返すと「うーん…?何だろうな?」…と、とぼけた返事が返ってきた。
「また、適当なことばっかり言って…」
そう言ってお互い笑い合っていたが、長瀬の言いたい意味も何となく分かるような気がした。
長瀬は冬樹が、実は女の子の夏樹であるということを知らない。
でも、何となく俺の中で『冬樹』という存在が親友以上のものであることを漠然とだが感じているのだろう。
(でも、コイツの場合…本気で人のことをホモだと思ってそうで怖いな…)
雅耶は心の中で苦笑した。
「お先に失礼しまーすっ」
今日のバイトを終え、賄いもご馳走になった後、冬樹は『Cafe & Bar ROCO』を後にした。
店を出て、そのまままっすぐ家へと向かおうとした冬樹は、店の向かいに思わぬ人物の姿を見つけた。
「……まさや…?」
雅耶は店から出て来た冬樹に気付くと、笑顔で軽く手を上げた。
「…どうしたんだよ?こんな時間に?」
不思議そうに見上げる冬樹に、雅耶は笑って言った。
「この近くの本屋に用があってさ。丁度冬樹終わる時間かなって思ったから待ってた」
そう言って、手に持っていた本屋のロゴの入った袋を軽く掲げて見せた。
「一緒に帰ろうぜ。…っていうか送ってくよ」
普通に考えたら、男が男に言うセリフではないそれを雅耶はサラッ…と言ってのけた。
その言葉に、冬樹は最初物言いたげな顔をしていたが。
「最近、学校ではゆっくり話も出来ないしさ。一緒に歩きたかったんだ」
と、人懐っこい笑顔で言われて「…そうだな…」と、素直に微笑みを返すと、一緒に歩き出した。