ツインクロス
冬樹と一緒に話をしながら歩いていても、学校の話題となると、どうしても転入してきた力の話になった。
「ふーん…じゃあ、昔は今みたいな感じじゃなかったのか…」
「ああ。確かに別荘とか持ってたり、それなりに良い生活はしてたのかも知れないけど。流石に運転手付きの高級車で送り迎えってのは、何かビックリかも。…ちょっと引くよな?」
そう言うと、冬樹は苦笑した。
「あいつの親父さんは、うちの父親とは古くからの友人で仕事仲間だって言ってたから…。多分、仕事も普通の会社員だったと思うんだ」
「…ってことは、この間の…立花製薬?」
思いついたままを口にした雅耶のその言葉に、冬樹は一瞬動きを止めた。
口にした雅耶でさえ、ハッ…として固まっている。
「もしかして…あいつの親父さんなら、何か知ってたりするのかな?」
そう呟いた雅耶に、冬樹も同じことを考えていたようだったが、それを打ち消すように緩く首を振った。
「まぁ…今は違うかも知れないしな。普通の会社員の息子があんな生活は出来ないだろうし…」
冬樹は歩きながら瞳を伏せる。
「そうか…。そうだよな…」
雅耶もそれ以上は何も言えず、暫く二人…無言で歩き続けた。
すると、不意に冬樹が顔を上げた。
「…なぁ、雅耶?」
「ん?」
何処か意を決したような冬樹の様子に、雅耶は不思議そうに冬樹を見下ろした。目が合うと冬樹はさり気なくまた下を向いてしまったが、言葉を続けた。
「お前…。彼女と別れたんだって?…長瀬が言ってたんだ。…本当なのか?」
(…言いにくそうにしてたのは、そのネタだったからか…)
雅耶は内心で冬樹の様子に苦笑しながらも、素直に「本当だよ」と答えた。
「…そう、だったんだ…。合コンに参加した奴らが心配してるらしいぞ。今更ながらに責任感じてるとか、何とか…」
「へぇ…?別に合コンは別れたことと関係ないんだけどな…。まぁあいつらには少し反省して貰うのもいいかもなっ」
雅耶は明るく言った。
「………」
冬樹は、そんな俺の表情から何かを読み取ろうと再び顔を上げて、じっ…と見つめてくる。
(そんな風に見詰められたら、言わなくていい事を口に出してしまいそうになるだろ…)
雅耶は苦笑いを浮かべると、言った。
「…もともとハッキリさせなかった俺が悪かったんだ。自分に正直になっただけだよ」
「ふーん…じゃあ、昔は今みたいな感じじゃなかったのか…」
「ああ。確かに別荘とか持ってたり、それなりに良い生活はしてたのかも知れないけど。流石に運転手付きの高級車で送り迎えってのは、何かビックリかも。…ちょっと引くよな?」
そう言うと、冬樹は苦笑した。
「あいつの親父さんは、うちの父親とは古くからの友人で仕事仲間だって言ってたから…。多分、仕事も普通の会社員だったと思うんだ」
「…ってことは、この間の…立花製薬?」
思いついたままを口にした雅耶のその言葉に、冬樹は一瞬動きを止めた。
口にした雅耶でさえ、ハッ…として固まっている。
「もしかして…あいつの親父さんなら、何か知ってたりするのかな?」
そう呟いた雅耶に、冬樹も同じことを考えていたようだったが、それを打ち消すように緩く首を振った。
「まぁ…今は違うかも知れないしな。普通の会社員の息子があんな生活は出来ないだろうし…」
冬樹は歩きながら瞳を伏せる。
「そうか…。そうだよな…」
雅耶もそれ以上は何も言えず、暫く二人…無言で歩き続けた。
すると、不意に冬樹が顔を上げた。
「…なぁ、雅耶?」
「ん?」
何処か意を決したような冬樹の様子に、雅耶は不思議そうに冬樹を見下ろした。目が合うと冬樹はさり気なくまた下を向いてしまったが、言葉を続けた。
「お前…。彼女と別れたんだって?…長瀬が言ってたんだ。…本当なのか?」
(…言いにくそうにしてたのは、そのネタだったからか…)
雅耶は内心で冬樹の様子に苦笑しながらも、素直に「本当だよ」と答えた。
「…そう、だったんだ…。合コンに参加した奴らが心配してるらしいぞ。今更ながらに責任感じてるとか、何とか…」
「へぇ…?別に合コンは別れたことと関係ないんだけどな…。まぁあいつらには少し反省して貰うのもいいかもなっ」
雅耶は明るく言った。
「………」
冬樹は、そんな俺の表情から何かを読み取ろうと再び顔を上げて、じっ…と見つめてくる。
(そんな風に見詰められたら、言わなくていい事を口に出してしまいそうになるだろ…)
雅耶は苦笑いを浮かべると、言った。
「…もともとハッキリさせなかった俺が悪かったんだ。自分に正直になっただけだよ」