ツインクロス
「でも、部長と1対1で話し合いの席を持った結果、何と先生が学校側には問題に出さないでやる代わりに依頼を受けて欲しいって言って来たらしくてさ。極秘任務でこれを遂行すれば、今後の写真部の活動には目を瞑るっていう話しだったんだって」
「…教師の風上にも置けない奴だな。もしかして、それで冬樹を撮ってたのか?」
「察しが良いね。その通りだよ」
その生徒は肩をすくめて見せた。
「僕のクラスの授業は、5時限目自習だったんだ。だからこっそり許可が下りてさ。勿論、他の先生達には秘密なんだけど…」
「ふーん…。ところで、その撮った写真って見れるのか?」
どんな写真を撮ったのか興味が湧いて、力は控えめに聞いてみた。
「ああ、うん。デジカメだから見れるよ」
その生徒は横からカメラを差し出して見せてくれた。
先程の体育の授業中のものなのだから、流石に笑顔などの写真はないだろうとは思ってはいたが。
「………」
力は、言葉が出て来なかった。
笑顔とはまた違った、真剣な顔や、妙に苦しげな冬樹の表情など…微妙に惹かれる写真だった。
「…結構マニアックだろ?あの先生はドSで有名なんだ。だから、きっと写真もこういうのが趣味なんじゃないかな。笑顔の写真ばかりじゃ甘いって駄目出ししてったらしいし…」
そう話す生徒の言葉に頷きつつも、カメラの画面から目が離せない。
僅かに頬を染めながら急に静かになってしまった力を見て、その生徒は笑った。
「あれ?もしかして気に入っちゃった?もし欲しいなら写真プリントしたら届けてあげようか?その代わり、今回のことは本当に秘密だよっ。約束守ってくれたら口止め料として、写真で良ければ好きなやつタダであげるよ?」
「ほ…ホントか?」
「勿論だよ。それ位ならお安い御用さっ。やっぱり野崎くんが良いの?今売ってるので良ければ、さっきの4枚ともあげるよ。こっちのカメラの中のは後で持ってくよ」
「お…おぅっ」
力は、先程の冬樹のブロマイドを4枚とも受け取った。
「あ、でも今日の授業のは、くれぐれも門外不出だよっ。基本的に授業中のは皆には売れないからね。溝呂木先生に渡す分と、キミにだけの特別サービスだよ。…それで良いかな?」
その生徒の言葉に、力は思いきり親指を立ててOKサインを出した。
交渉成立すると、お互い軽く挨拶を交わして、満足気にその場を離れた。
だが、もうすぐ6時限目が始まる時刻なのに気付き、力は慌てて校舎へと走って行くのだった。
「…教師の風上にも置けない奴だな。もしかして、それで冬樹を撮ってたのか?」
「察しが良いね。その通りだよ」
その生徒は肩をすくめて見せた。
「僕のクラスの授業は、5時限目自習だったんだ。だからこっそり許可が下りてさ。勿論、他の先生達には秘密なんだけど…」
「ふーん…。ところで、その撮った写真って見れるのか?」
どんな写真を撮ったのか興味が湧いて、力は控えめに聞いてみた。
「ああ、うん。デジカメだから見れるよ」
その生徒は横からカメラを差し出して見せてくれた。
先程の体育の授業中のものなのだから、流石に笑顔などの写真はないだろうとは思ってはいたが。
「………」
力は、言葉が出て来なかった。
笑顔とはまた違った、真剣な顔や、妙に苦しげな冬樹の表情など…微妙に惹かれる写真だった。
「…結構マニアックだろ?あの先生はドSで有名なんだ。だから、きっと写真もこういうのが趣味なんじゃないかな。笑顔の写真ばかりじゃ甘いって駄目出ししてったらしいし…」
そう話す生徒の言葉に頷きつつも、カメラの画面から目が離せない。
僅かに頬を染めながら急に静かになってしまった力を見て、その生徒は笑った。
「あれ?もしかして気に入っちゃった?もし欲しいなら写真プリントしたら届けてあげようか?その代わり、今回のことは本当に秘密だよっ。約束守ってくれたら口止め料として、写真で良ければ好きなやつタダであげるよ?」
「ほ…ホントか?」
「勿論だよ。それ位ならお安い御用さっ。やっぱり野崎くんが良いの?今売ってるので良ければ、さっきの4枚ともあげるよ。こっちのカメラの中のは後で持ってくよ」
「お…おぅっ」
力は、先程の冬樹のブロマイドを4枚とも受け取った。
「あ、でも今日の授業のは、くれぐれも門外不出だよっ。基本的に授業中のは皆には売れないからね。溝呂木先生に渡す分と、キミにだけの特別サービスだよ。…それで良いかな?」
その生徒の言葉に、力は思いきり親指を立ててOKサインを出した。
交渉成立すると、お互い軽く挨拶を交わして、満足気にその場を離れた。
だが、もうすぐ6時限目が始まる時刻なのに気付き、力は慌てて校舎へと走って行くのだった。