ツインクロス
終末へと向かう足音
高層ビルが建ち並ぶオフィスビル街。
その一角にそびえ立つ、某ビルの高層階に『シンコウ漢方製薬株式会社』の本社はあった。
その本社の中でも一番見晴らしの良い場所にある、広く豪華な社長室には、代表取締役社長である神岡の怒号が響き渡っていた。
「いったい、お前は何をやっているんだっ!!」
怒鳴るや否や、目の前の大きな机をドンッ…と両手で打ち付けた。
神岡はそれでも怒りが収まらないのか、机上に置かれていた書類をわし掴みにすると、それを目の前で跪いて頭を垂れている男に投げつけた。
だが、書類はその男の元へ届くことはなく、ひらひらと宙を舞い周囲にばら撒かれるだけだったが。
「あの子どもを捕まえそびれただけでなく、データも全て持って行かれただとっ!?よくもそんな報告を持って、ノコノコと顔を出せたものだなっ?」
「…申し訳…ありませんっ…」
深々と頭を床へと押し付けて謝罪の言葉を口にしている男。
それは、力の運転手である萩原だった。
顔を上げずに、ずっと床にひれ伏している萩原を横目で見ると、神岡は嫌味たっぷりに「フン」…と鼻で笑った。
「お前に期待した私が馬鹿だったということだなっ。お前は、精々力のお守りを任せられてるのが適任の、その程度の器だったということか」
吐き捨てるようにそう言うと、もう既に興味もないという様子で萩原に背を向けた。
「出て行けっ。お前の辛気臭い顔なんか見たくもない。通常の業務に戻れっ。首を切られたくなかったら、精々精進するんだな」
そう告げられた萩原は、もう一度謝罪の言葉を口にして深々と頭を下げると、その部屋を後にした。
だが、出て行った萩原と入れ違いに、再びドアをノックする音が聞こえてくる。
「…何だ?」
イラついた気持ちを隠さぬままに神岡が返事をすると「失礼します」と、部屋に入室して来た人物は。
「…力か…。どうした?…何の用だ?」
そこには、無表情の力がいた。
その一角にそびえ立つ、某ビルの高層階に『シンコウ漢方製薬株式会社』の本社はあった。
その本社の中でも一番見晴らしの良い場所にある、広く豪華な社長室には、代表取締役社長である神岡の怒号が響き渡っていた。
「いったい、お前は何をやっているんだっ!!」
怒鳴るや否や、目の前の大きな机をドンッ…と両手で打ち付けた。
神岡はそれでも怒りが収まらないのか、机上に置かれていた書類をわし掴みにすると、それを目の前で跪いて頭を垂れている男に投げつけた。
だが、書類はその男の元へ届くことはなく、ひらひらと宙を舞い周囲にばら撒かれるだけだったが。
「あの子どもを捕まえそびれただけでなく、データも全て持って行かれただとっ!?よくもそんな報告を持って、ノコノコと顔を出せたものだなっ?」
「…申し訳…ありませんっ…」
深々と頭を床へと押し付けて謝罪の言葉を口にしている男。
それは、力の運転手である萩原だった。
顔を上げずに、ずっと床にひれ伏している萩原を横目で見ると、神岡は嫌味たっぷりに「フン」…と鼻で笑った。
「お前に期待した私が馬鹿だったということだなっ。お前は、精々力のお守りを任せられてるのが適任の、その程度の器だったということか」
吐き捨てるようにそう言うと、もう既に興味もないという様子で萩原に背を向けた。
「出て行けっ。お前の辛気臭い顔なんか見たくもない。通常の業務に戻れっ。首を切られたくなかったら、精々精進するんだな」
そう告げられた萩原は、もう一度謝罪の言葉を口にして深々と頭を下げると、その部屋を後にした。
だが、出て行った萩原と入れ違いに、再びドアをノックする音が聞こえてくる。
「…何だ?」
イラついた気持ちを隠さぬままに神岡が返事をすると「失礼します」と、部屋に入室して来た人物は。
「…力か…。どうした?…何の用だ?」
そこには、無表情の力がいた。