ツインクロス
「とうとうマー坊も高校生かー。改めて入学おめでとうね!」
「ちょっと、清香姉…。その『マー坊』はやめてよ…」
雅耶は照れくさそうに笑みを浮かべると「でも、ありがとう」と言った。
「すっかり大きくなっちゃって…。そんなに、上から見下ろされたら何だか調子狂っちゃうわね」
20センチ以上も差がある雅耶を見上げて、清香は優しく笑った。
「で…何組になったの?学校はどう?男子校だとまた全然雰囲気違うでしょう?友達は出来そう?」
矢継ぎ早に出てくる質問に雅耶は苦笑すると、
「確かに男ばっかりで不思議な感じはするかな…。でも、すぐ慣れると思うよ。俺のクラスはA組。この学校には何人か中学一緒だった奴らもいるし気持ち楽かな。仲良い奴も丁度おんなじクラスになって、ラッキーだなって言ってたんだ」
そう律儀に答えた。
「そうなんだ?それは心強いね。いいなぁー、これから楽しい高校生活が待ってるってことかぁ」
清香は、伸びをしながら笑って言った。
「うん。清香姉にお世話になることもあるかも知れないけど、これからよろしくね!」
「馬鹿ね。世話にならない方が良いに決まってるでしょ?保健室なんだから。それに、ココでは『先生』って呼ばなくちゃダメよっ」
そう言って、人差し指をピッ…っと立てた。
「あー…そうだった。『浅木先生』?」
「『清香先生』でもいいわよ。みんな結構そう呼んでくれてるし。こう見えて、私はこの男子校のマドンナ的存在なのよ♪」
そう笑った清香に。
「へぇー…」
と、相槌を打ちながらも。
(そういうの、自分で言っちゃダメっしょ…)
と、頭の中に浮かんだツッコミは、自分の内に留めておくことにした。
「そういえば、清香姉…じゃなくて、清香先生…」
律儀に呼び直している雅耶に、清香はふふ…と笑った。
「なあに?」
「冬樹って覚えてる?ウチの隣に住んでた…」
「ふゆき…くん…?隣って…野崎さん?」
「そうそう、そこの双子の…」
考える様な素振りをしていた清香だったが、そこまで聞いて思い出したようでポンッ…と、手を打った。
「ああ。覚えてるわよ。何度か雅耶と一緒に遊びに来てた可愛い双子ちゃんでしょ?でも、野崎さんの家…大変だったのよね…。その子一人だけ残されちゃったんだっけ…?」
「うん。あいつさ、あの後…親戚の家に引き取られたんだ…」
雅耶は昔を思い出しているのか、少し辛そうな顔をした。
「それからずっと会ってなかったんだけど、あいつ…こっち戻って来たみたいで…。偶然、あいつもこの学校だったんだ」
「そうなんだ?すごい偶然だね」
懐かしい友人の話をしているわりに、雅耶が浮かない顔をしているので、清香は不思議そうに話の続きに耳を傾けていた。
「うん。それもさ、同じクラスだったんだよ。本当スゴイ偶然でしょ?」
「へぇー。この学校クラス多いのに、それは凄いね」
「うん」…と笑顔を見せながらも、それはどこか元気のないもので。
清香は疑問に思い、それを口に出した。
「ちょっと、清香姉…。その『マー坊』はやめてよ…」
雅耶は照れくさそうに笑みを浮かべると「でも、ありがとう」と言った。
「すっかり大きくなっちゃって…。そんなに、上から見下ろされたら何だか調子狂っちゃうわね」
20センチ以上も差がある雅耶を見上げて、清香は優しく笑った。
「で…何組になったの?学校はどう?男子校だとまた全然雰囲気違うでしょう?友達は出来そう?」
矢継ぎ早に出てくる質問に雅耶は苦笑すると、
「確かに男ばっかりで不思議な感じはするかな…。でも、すぐ慣れると思うよ。俺のクラスはA組。この学校には何人か中学一緒だった奴らもいるし気持ち楽かな。仲良い奴も丁度おんなじクラスになって、ラッキーだなって言ってたんだ」
そう律儀に答えた。
「そうなんだ?それは心強いね。いいなぁー、これから楽しい高校生活が待ってるってことかぁ」
清香は、伸びをしながら笑って言った。
「うん。清香姉にお世話になることもあるかも知れないけど、これからよろしくね!」
「馬鹿ね。世話にならない方が良いに決まってるでしょ?保健室なんだから。それに、ココでは『先生』って呼ばなくちゃダメよっ」
そう言って、人差し指をピッ…っと立てた。
「あー…そうだった。『浅木先生』?」
「『清香先生』でもいいわよ。みんな結構そう呼んでくれてるし。こう見えて、私はこの男子校のマドンナ的存在なのよ♪」
そう笑った清香に。
「へぇー…」
と、相槌を打ちながらも。
(そういうの、自分で言っちゃダメっしょ…)
と、頭の中に浮かんだツッコミは、自分の内に留めておくことにした。
「そういえば、清香姉…じゃなくて、清香先生…」
律儀に呼び直している雅耶に、清香はふふ…と笑った。
「なあに?」
「冬樹って覚えてる?ウチの隣に住んでた…」
「ふゆき…くん…?隣って…野崎さん?」
「そうそう、そこの双子の…」
考える様な素振りをしていた清香だったが、そこまで聞いて思い出したようでポンッ…と、手を打った。
「ああ。覚えてるわよ。何度か雅耶と一緒に遊びに来てた可愛い双子ちゃんでしょ?でも、野崎さんの家…大変だったのよね…。その子一人だけ残されちゃったんだっけ…?」
「うん。あいつさ、あの後…親戚の家に引き取られたんだ…」
雅耶は昔を思い出しているのか、少し辛そうな顔をした。
「それからずっと会ってなかったんだけど、あいつ…こっち戻って来たみたいで…。偶然、あいつもこの学校だったんだ」
「そうなんだ?すごい偶然だね」
懐かしい友人の話をしているわりに、雅耶が浮かない顔をしているので、清香は不思議そうに話の続きに耳を傾けていた。
「うん。それもさ、同じクラスだったんだよ。本当スゴイ偶然でしょ?」
「へぇー。この学校クラス多いのに、それは凄いね」
「うん」…と笑顔を見せながらも、それはどこか元気のないもので。
清香は疑問に思い、それを口に出した。