ツインクロス
ヒメゴト
キーンコーンカーンコーン…
授業終了のチャイムが鳴り響くと同時に、途端に緊張感が解ける校舎内。教師の号令を合図に、後ろの席から順に答案を集めていくと、生徒達はそれぞれ自分の出来栄えに思い思いの反応を見せ、教室内は賑やかになった。
現在、成蘭高等学校は定期テスト期間中である。
本日のテストはこれで全て終了だが、また明日のテスト二日目に備え、皆勉学に励まなくてはならない。テスト期間中は部活動も全て休みになり、原則として生徒達は早急に下校することが義務付けられている。
そんな中、冬樹は小さく深呼吸をすると帰り支度を始めた。
今日のバイトは、休みを貰っている。本当は特に休みなどいらないと言ったのだが、直純に『冬樹にとっては勉強も大事な仕事のうち』と言われて却下されてしまったのだった。
(でも…何か熱っぽいし、バイト休みで丁度良かったかも…)
家に帰って、少し明日のテスト範囲を振り返ったら今日は早く寝てしまおう…と、冬樹は心に決めた。
「雅耶っ」
帰り支度を済ませた雅耶の元に、長瀬がやって来た。
「今日俺先輩のとこにちょっと寄ってく用があるから、先帰ってくれていいよん」
「あ、そうなんだ。了解。じゃあまた明日な」
「うん。バーイ♪」
長瀬と別れると、雅耶は一人で教室を後にした。
昇降口に差し掛かると、下駄箱の前に冬樹がいるのが目に入った。雅耶は傍に行くのを躊躇すると、咄嗟に柱の陰に隠れてしまう。
(何で冬樹から隠れてんだろ、俺…)
自分でもおかしいと思いながらも、結局そのままそこから動けずにいた。
冬樹とは、あの鞄を届けた夜から気まずいままだ。ずっと気になりながらも、あんな風に拒否されてしまっては、流石にどう接していいか雅耶にも分からなかったのだ。
周囲から不自然に見えないようにそっと下駄箱の方を覗くと、冬樹が靴を履きかえて校舎から出ようとしているところだった。
だが、その時…。
不意に横から生徒が勢いよく出てきて、冬樹とぶつかるのが目に入った。
授業終了のチャイムが鳴り響くと同時に、途端に緊張感が解ける校舎内。教師の号令を合図に、後ろの席から順に答案を集めていくと、生徒達はそれぞれ自分の出来栄えに思い思いの反応を見せ、教室内は賑やかになった。
現在、成蘭高等学校は定期テスト期間中である。
本日のテストはこれで全て終了だが、また明日のテスト二日目に備え、皆勉学に励まなくてはならない。テスト期間中は部活動も全て休みになり、原則として生徒達は早急に下校することが義務付けられている。
そんな中、冬樹は小さく深呼吸をすると帰り支度を始めた。
今日のバイトは、休みを貰っている。本当は特に休みなどいらないと言ったのだが、直純に『冬樹にとっては勉強も大事な仕事のうち』と言われて却下されてしまったのだった。
(でも…何か熱っぽいし、バイト休みで丁度良かったかも…)
家に帰って、少し明日のテスト範囲を振り返ったら今日は早く寝てしまおう…と、冬樹は心に決めた。
「雅耶っ」
帰り支度を済ませた雅耶の元に、長瀬がやって来た。
「今日俺先輩のとこにちょっと寄ってく用があるから、先帰ってくれていいよん」
「あ、そうなんだ。了解。じゃあまた明日な」
「うん。バーイ♪」
長瀬と別れると、雅耶は一人で教室を後にした。
昇降口に差し掛かると、下駄箱の前に冬樹がいるのが目に入った。雅耶は傍に行くのを躊躇すると、咄嗟に柱の陰に隠れてしまう。
(何で冬樹から隠れてんだろ、俺…)
自分でもおかしいと思いながらも、結局そのままそこから動けずにいた。
冬樹とは、あの鞄を届けた夜から気まずいままだ。ずっと気になりながらも、あんな風に拒否されてしまっては、流石にどう接していいか雅耶にも分からなかったのだ。
周囲から不自然に見えないようにそっと下駄箱の方を覗くと、冬樹が靴を履きかえて校舎から出ようとしているところだった。
だが、その時…。
不意に横から生徒が勢いよく出てきて、冬樹とぶつかるのが目に入った。