ツインクロス
食べ始めて少しすると、長瀬がこっそりと耳打ちしてきた。
「禁断の恋の噂…聞いちゃったんだ」
「…禁断…?」
訝しげに雅耶は、眉を寄せた。
「そ。それも…誰のだと思う…?」
「…誰なんだよ?」
回りくどい言い方に少しイラついて聞き返すと。
長瀬は「聞いて驚くなかれ」…と楽しげに口を開いた。
「冬樹チャン…だよ」
「…え?」
雅耶は耳を疑った。
「だーかーらー。冬樹チャンだってばー」
「……マジで?」
思わず箸が止まってしまう。
「相手…は…?」
『禁断の』…というからには、聞くにもそれなりの覚悟がいる気がした。
若干緊張気味な雅耶の顔を見て、長瀬は満足げに微笑むとそっと耳元で呟いた。
「保健医の浅木清香先生…だってさ」
「は…?清香姉っ?」
「そ♪雅耶のお姉ちゃん的存在っ。そして我が成蘭高校のマドンナ!浅木清香先生なりっ」
(自称…じゃなくてホントに『マドンナ』だったんだ…)
以前、清香が自分で言ってたのを思い出して雅耶は思わず感心した。
でも…いや、今のツッコミ所はそこじゃない。
確かに、冬樹は最近清香姉の元へよく足を運んではいるが、それは『ひとり暮らし』のことなどを相談していると言っていた。『栄養相談』なども受けている…とも。頻繁に顔を出しているから、そういう噂を立てられたんだろうか?
「あいつ…確かによく保健室行ってるけど…最近、カウンセリングとか受けたりしてるらしいんだ。それで変に勘ぐった奴に噂立てられただけじゃないのか?」
「んー…でも、冬樹チャンのあの顔見ちゃうとなー。何とも信憑性が高いというか…」
「あの顔…?」
雅耶が聞き返すと、長瀬はYシャツの胸ポケットから白い封筒を取り出した。
その中から一枚の写真を取り出すと、周囲を確認しながら雅耶の手元にそっと差し出した。
「…これ…?」
そこには、冬樹が写っていた。
背景を見る限りでは、保健室にいる時の写真の様だ。
「すっごくイイ顔してるっしょ?冬樹チャン…」
「………」
それは、再会してから今まで見せたこともないような…。
鮮やかな笑顔。
そして、その向かいにいる人物は、やはり清香姉だった。
写真ではこちらに背を向けているし、冬樹をメインに合わせて撮られた写真なので端に僅かに写っているだけだが、自分には彼女が清香姉に間違いないことだけは判った。
「禁断の恋の噂…聞いちゃったんだ」
「…禁断…?」
訝しげに雅耶は、眉を寄せた。
「そ。それも…誰のだと思う…?」
「…誰なんだよ?」
回りくどい言い方に少しイラついて聞き返すと。
長瀬は「聞いて驚くなかれ」…と楽しげに口を開いた。
「冬樹チャン…だよ」
「…え?」
雅耶は耳を疑った。
「だーかーらー。冬樹チャンだってばー」
「……マジで?」
思わず箸が止まってしまう。
「相手…は…?」
『禁断の』…というからには、聞くにもそれなりの覚悟がいる気がした。
若干緊張気味な雅耶の顔を見て、長瀬は満足げに微笑むとそっと耳元で呟いた。
「保健医の浅木清香先生…だってさ」
「は…?清香姉っ?」
「そ♪雅耶のお姉ちゃん的存在っ。そして我が成蘭高校のマドンナ!浅木清香先生なりっ」
(自称…じゃなくてホントに『マドンナ』だったんだ…)
以前、清香が自分で言ってたのを思い出して雅耶は思わず感心した。
でも…いや、今のツッコミ所はそこじゃない。
確かに、冬樹は最近清香姉の元へよく足を運んではいるが、それは『ひとり暮らし』のことなどを相談していると言っていた。『栄養相談』なども受けている…とも。頻繁に顔を出しているから、そういう噂を立てられたんだろうか?
「あいつ…確かによく保健室行ってるけど…最近、カウンセリングとか受けたりしてるらしいんだ。それで変に勘ぐった奴に噂立てられただけじゃないのか?」
「んー…でも、冬樹チャンのあの顔見ちゃうとなー。何とも信憑性が高いというか…」
「あの顔…?」
雅耶が聞き返すと、長瀬はYシャツの胸ポケットから白い封筒を取り出した。
その中から一枚の写真を取り出すと、周囲を確認しながら雅耶の手元にそっと差し出した。
「…これ…?」
そこには、冬樹が写っていた。
背景を見る限りでは、保健室にいる時の写真の様だ。
「すっごくイイ顔してるっしょ?冬樹チャン…」
「………」
それは、再会してから今まで見せたこともないような…。
鮮やかな笑顔。
そして、その向かいにいる人物は、やはり清香姉だった。
写真ではこちらに背を向けているし、冬樹をメインに合わせて撮られた写真なので端に僅かに写っているだけだが、自分には彼女が清香姉に間違いないことだけは判った。