2人でいた0時間
「真昼もゆっくり行こう?」
亜沙が私に微笑みかける。
多分、亜沙は私の気持ちを知っている。
知っていて、晋也に接触している。
「3人で行こう?ね、晋也、真昼」
「うん」
「泣き虫晋也」
私は素直じゃない。
晋也が好きなのに、ひどいことばかり言ってしまう。
「ちょっと、真昼...」
「男のくせに私たちについてこれないの?」
「真昼...!」
「そんなんだからクラスのみんなにバカにされるんだよ」
「うぅ...」
止まった晋也の涙がまた溢れてくる。
私は少し後悔して唇を噛み締めた。
いいよ、私は悪者で。
亜沙がヒーローで、私は悪者。
だから晋也が亜沙に惹かれることは当たり前のことなのかもしれない。
だけどそんな現実、望んでいない。