ひとつの村が消えてしまった話をする
小屋
葵は精神的に疲れている時、言い出しに『何かね』と付ける。

「引き返すか?」

葵を気遣って言葉をかける。

「だが、障芽池を確認しない事には道に迷うだけだぜ」

「それもそうか…行けそうか葵?」

滋の言葉に、俺は迷う。

「少しなら大丈夫、行こ?」

葵は何とか微笑んで見せてくれた。

「分かった、何かあったら遠慮なく言いなよ」

「少し歩く速度を速めるか?」

「どうする葵?」

「今のままで良いよ」

「分かった」

…この時、俺は本能的に良くない感覚を捉えて始めていた。

これが第六感というのかどうかは分からないが。

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