ひとつの村が消えてしまった話をする
と。

「おい、葵は?」

「あ?あれ、そこの椅子にいた筈なのに」

いつの間にか葵が椅子からいなくなっていた。

と、部屋の角の所から足音。

「おい葵!」

部屋の角の所に行くと、壁と同化した扉があった。

まるで隠し扉だ。

「何だその扉…」

扉を開けると、階段があった。

2階へと続く階段だ。

俺は正直、この小屋に2階があった事に気付いていなかった。

外から見ても2階と思われる所は全て、木や蔦状の草で覆われていたからだ。

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