ひとつの村が消えてしまった話をする
「2階に葵は行ったのか?」

「そうだろ、小屋の入り口の扉も閉まってるし」

俺と滋は2階の階段をゆっくりと歩いた。

速く歩けば抜け落ちそうな程、階段の木は腐っており、朽ちている。

そして2階の部屋の扉を開けようとした時。

「おい!待て」

滋が止める。

「扉をよく見ろ」

暗くてよく分からなかったが、扉は数百枚はあるお札で閉じられており、扉の両端には盛り塩があった。

だがその盛り塩は黒く、変色していた。

「扉の雰囲気からして、ここはやばいと思う…だが、その扉と壁の所のお札が破られているから、葵はこの中にいる」

「行くしかないだろ…」

「俺が開けるぞ」

滋はそう言うと、思い切り扉を蹴飛ばした。

その瞬間。

「!?」

滋は何かの強い力で吹き飛ばされ、階段の一番下へ転がり落ちた!

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