ひとつの村が消えてしまった話をする
俺と滋が障芽池の森から出てきた事を知り、それは直ぐに村中に知れ渡り、俺と滋の両親に家族、神主一族の他にも多くの村人が障芽池の森の入り口付近に集まった。

何も言わずとも、俺と滋の服がボロボロである事から大体の見当が付いたらしく、直ぐに神社の本殿へ連れてかれた。

既に本殿には村人全員が召集されており、異様な雰囲気だったのを覚えている。

神主が俺達の前に立つ。

「最初にお前達に憑いた存在を払う、辛いのを覚悟しておけ」

神主は俺と滋に無理矢理に酒や酢といった物を飲ませ、身体中に塩を掛けた。

思い切り背中を叩かれたと同時に、俺と滋は何かを吐いた。

蝋燭の火に照らされた嘔吐物を見ると、俺は無数の髪の毛を、滋は何枚かのお札のような紙を吐いていた。

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