ひとつの村が消えてしまった話をする
長きに亘り、村の伝承は受け継がれてきたが、ある年、村の伝承を知ったある一族が森の祠へ行き、初代神主の力を得ようとする事態が起きた。

何故か森の祠にある石を壊せば、自分達にも力が宿ると思っていたらしい。

一族の企みを知った村人が神主一族に報告した事により、一族の行いは未然に防がれる事となった。

力を得ようとした一族は、村八分の後に村を追放された後、人間関係で失敗し多額の借金を背負い、遂には一族で投身自殺した。

この事から、森の祠や、村の伝承の大半を村人に残さない方針に変わり、この世代から神主一族にのみ管理が任せられ、森の祠の周囲にも封印がなされる事となった。

この当時の滋の一族は、この方針を無視し、一族内で森の祠の存在を伝えていたらしく、滋は両親の会話からその存在を知る事となった。

森の祠になされた封印は、8月14日に弱まる為、その封印の組み直しを当代神主は、毎年1人で行う。

神主によれば、組み直された封印は、来年の8月14日まで弱まる事はないが、強い悪意の絡んだ何らかの手段で、この封印を破壊し、初代神主の力を得る事が可能だそうだ。

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