ひとつの村が消えてしまった話をする
「葵は必ず、この場所に連れ戻して来ます」

責任を感じずにはいられない。

俺は頷く。

「禁を犯した自分が言うのもなんですが、これは自分に下された天命だと思っています」

滋もまた同様に頷いた。

「我々は途中まで君達に付いて行く。葵を見つけたら直ぐにこの清めの水を飲ませ、背中にこのお札を張りなさい。そして、清めの塩を葵の身体全体に掛け、障者が現れたら真言を唱えなさい」

神主は俺達に、その真言を教えてくれた。

「真言で障者を数秒止める事が出来ると思うが、止められなかった場合はひたすら走り、我々の下へ来るのだよ。立ち止まってはいけない事を忘れずに」

「はい」

俺と滋は覚悟を決めた。

















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