ひとつの村が消えてしまった話をする
作戦はこうだ。


俺と滋で小屋に一気に突入する。

下の部屋に障者がいた場合、滋が相手する。

その隙に俺が2階へ行き、葵を助ける。

2階に障者がいた場合、障者を足止めし、葵を連れて1階へ降り、滋と葵を守りながら、神主一族の下へと走り抜ける。

作戦というような大層なものではないが、この方法で行くしかないと思った。

「行くぞ」

青ざめた顔をしていたに違いない…俺は言う。

「ああ」

頷く滋。

精一杯の虚勢を張って。

2人で突進するように、小屋に入った。

下の部屋に障者はいなかったので、下は滋に任せ、俺は階段を駆け上がった。

2階の扉を思い切り蹴破り。

「葵!」

俺は葵の名前を叫び、中に居るであろう障者を威嚇した。

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