ひとつの村が消えてしまった話をする
「何だよ!」
何が真言だ、全く通じないじゃないか!
俺は葵を抱えたまま、後ろに下がっていく。
ジリジリと、にじるようにして近付いてくる障者。
首に巻きつけられたままの縄が、皮膚を擦り切って血を滲ませる。
血流が止められているのか、顔は信じられないほどに紅潮している。
額に浮かび上がる無数の血管が、不気味さを助長していた。
と。
「!?」
葵が俺の知らない真言を唱えた。
「――――――――!」
障者の身体が痙攣しているように見える。
今の隙に…!
俺は葵を抱えたまま、階段を駆け下り、小屋を抜け出した。
何が真言だ、全く通じないじゃないか!
俺は葵を抱えたまま、後ろに下がっていく。
ジリジリと、にじるようにして近付いてくる障者。
首に巻きつけられたままの縄が、皮膚を擦り切って血を滲ませる。
血流が止められているのか、顔は信じられないほどに紅潮している。
額に浮かび上がる無数の血管が、不気味さを助長していた。
と。
「!?」
葵が俺の知らない真言を唱えた。
「――――――――!」
障者の身体が痙攣しているように見える。
今の隙に…!
俺は葵を抱えたまま、階段を駆け下り、小屋を抜け出した。