ひとつの村が消えてしまった話をする
「おい!早く行くぞ!」

「ああ!」

葵を救出し、滋と合流。

俺達は獣道を走る。

しかし。

「アアアアアアアアア…アアアアアアアアアア」

暗闇の森の中、身の毛もよだつような声が轟く。

俺達を追ってくるのは女性の障者。

長い黒髪を振り乱し、赤黒い目を剥き、黄ばんだ歯を剥き出しにして、両手を伸ばし、掻き毟るような動きを見せながら追ってくる!

その形相に怖気を覚える。

ここまで…ここまで来たんだ。

葵が生きてたんだ。

誰がこんな所で…!

「くそっ!」

滋が苦し紛れに、教わった真言を唱える。

この障者に対しては、効果覿面だった。

頭を抱え、目眩にも似た動きを見せる。

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