ひとつの村が消えてしまった話をする
獣道に蹲った障者を置き去りに、俺達は走る。

呼吸なんかどうでもいい。

心臓の鼓動なんかどうでもいい。

今は逃げないと!

逃げないと!

必死になって走り続け。

「…真言が…効いたみたいだな…」

俺と滋は膝に手を当て、ここでようやく思い出したように荒い呼吸をした。

「さぁ、もう少しだ…村へ戻ろう」

滋を先頭に、再び歩き出す。

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