ひとつの村が消えてしまった話をする
ただ、村を出て行った人数と、村で死んでいた人数が合わないらしく、未だに発見されていない死体が存在するとされている。

この件に関しては、村の有力者の多くが、事件をなるべく公にしないように手配したそうだ。

俺は滋の遺書とされる物を見せて貰い、遺書のある不自然な点に気付いた。

これは、滋の遺書の一部。

『8月14日、午後6時

この遺書が見つかる頃には、俺は死体で見つかっているだろう。

俺は今から障芽池の森へ行く。

未練が無い事は、ここに綴っておく。

ある時は笑い、ある時は怒ってくれた、アイツと葵、今までありがとう』

この遺書が書かれている時間帯は、俺と滋が待ち合わせをしていた1時間半前で、
俺と葵の所に滋が遅れてきた頃には、既に自殺していた事になる。

しかし、そう考えると俺と葵の所に遅れて来て、鬼小屋に行き、村に戻り、また鬼小屋へ行き、障者に連れ去られていった滋は?という事になる。

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