ひとつの村が消えてしまった話をする
村に警察が入り、事実上この村の村人が零になってから、数日後、神主一族の1人が自殺した。

葵とは血縁が遠い人ではあったが、良く葵の面倒を見てくれた人だ。

「次は我々か…葵だけでも逃がさなくては」

神主によれば、村を離れた村人に憑いて居た因縁が数日経った頃に姿を変え、縁があるものに『それ』は作用し始めたそうだ。

村に残っていた村人の多くが死んだ今、村を離れていた者に災いを齎す為に、因縁は活動を起こし始めた。

神主一族の1人が自殺して十数日。

葵の両親と俺の両親は、両一族の知り合いが経営する施設に俺と葵を預けた。

どちらの両親とも最期の別れの言葉は、

『因縁は自分達で祓え』

だった。

当時はこの言葉の本当の意味を、理解出来なかったと思う。

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