ひとつの村が消えてしまった話をする
「これは誰にも言わないでくれよ、8月14日の夜にさ、障芽池の森に3人で行ってみないか?」
それは、俺達の年頃ならば誰もが一度は思いつく、後ろめたくも冒険心を擽られる行為。
「でも、それは禁を破る事になるぜ。辿静祭の前日は、葵の一族の人が出入り口を見回っているだろうし」
「私もやめた方がいいと思うし、障芽池の森に行くのは無理だと思うな」
俺と葵は乗り気じゃない。
滋の提案は魅力的ではあったけれども…。
しかし、滋は抜け目なかった。
「2人にそう言われると思っていたから、昨日の夜に障芽池の森の有刺鉄線の網を一部開けておいたんだ。それに、障芽池の森の中に『祠』がある事を知ってるか?」
滋は自信たっぷりに言う。
「有刺鉄線を越えて、障芽池に行く獣道から少し外れた所に、ある祠があるそうなんだ。一昨日、俺の両親が話をしている所を一部聞いただけなんだけどさ、その祠はこの村の歴史が存在する以前からあるらしく、その祠の中にある『石』に触れると、『見える』ようになるそうだよ」
それは、俺達の年頃ならば誰もが一度は思いつく、後ろめたくも冒険心を擽られる行為。
「でも、それは禁を破る事になるぜ。辿静祭の前日は、葵の一族の人が出入り口を見回っているだろうし」
「私もやめた方がいいと思うし、障芽池の森に行くのは無理だと思うな」
俺と葵は乗り気じゃない。
滋の提案は魅力的ではあったけれども…。
しかし、滋は抜け目なかった。
「2人にそう言われると思っていたから、昨日の夜に障芽池の森の有刺鉄線の網を一部開けておいたんだ。それに、障芽池の森の中に『祠』がある事を知ってるか?」
滋は自信たっぷりに言う。
「有刺鉄線を越えて、障芽池に行く獣道から少し外れた所に、ある祠があるそうなんだ。一昨日、俺の両親が話をしている所を一部聞いただけなんだけどさ、その祠はこの村の歴史が存在する以前からあるらしく、その祠の中にある『石』に触れると、『見える』ようになるそうだよ」