ひとつの村が消えてしまった話をする
やがてじいちゃんの電話の相手が来た。

俺の見知らぬ女の人で普通のおばちゃんに見えたけど、後から聞いた話では、土地ではかなり有力な霊能力者らしい。

おばちゃんは俺達兄弟を一目見る。

「あら、これは大変な事になっちょるね。ともかくこれを持っときなさい」

そう言ってお札を1枚ずつ渡してくれた。

姿の見えなかったばあちゃんは寝室の準備をしていたらしく、俺達は仏間に泊まる事になった。

仏間は小さな部屋で、1つだけある窓も新聞紙で目張りされていた。

そこには布団が2つと、普段はないテレビ、お菓子などの食料が用意されていた。

じいちゃんは俺達に言う。

「いいか、これからお前達は2人だけで夜を越えなければいかん。その間、じいちゃんもばあちゃんもお前らを呼ぶ事は決してない。いいか、何と言われても、絶対に襖は開けるなよ」

< 74 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop