ひとつの村が消えてしまった話をする
「そんな話、お父さんからもお母さんからも聞いた事ないけど、本当だったら気になるかも」

興味を惹かれたのか、前のめりになる葵。

俺も葵と同じ意見だ。

「その話は聞いた事ないけど、何か気になる。そんで、何が『見える』ようになるんだ?」

「それは俺にも分からん、両親が2人で昔話をしている所を少し聞いただけで、その『見える』って言葉の後、父さんが話を変えたからさ」

肝心な所を暈されると、何とも興味をそそられるものだ。

「そっか、色々怖いけど、滋の話を信じてその祠に行ってみるか」

「私も行く!次の日は辿静祭だからお父さんから早く寝なさいって言われると思うから、なんとか屋敷を抜け出してみるね」

お嬢様の葵としては、なかなかの冒険に違いない。

「近くまで滋と迎えに行くよ、時間はどうする?」

「夜の8時ぐらいかな、あまり遅いと何かあった時に困るだろうから、時間に余裕をもって行きたい」

例によって滋の計画は周到だ。

「了解!」

「分かった!」

俺と葵はそれぞれ頷く。

「それで、明日はどうするんだ?」

「葵の都合考えて、お前の家で花札とか?」

「私は構わないわよ!」

「了解!明日の朝9時頃に来てくれ」

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