私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
8.すれ違う思い
疑心暗鬼
結局、8月は終わり、9月に入った。
私と瞬の怪我も少しずつ治ってはいるけど、私は声も記憶も戻らないまま、新学期になった。
始業式。
学校まで自転車ではまだきついだろうってお母さんが瞬と一緒に送ってくれることになって、今は車の中。
怪我は治りかけとは言っても、私は頭にネット被って頬に殴られた跡が残ったままだし、瞬も腕やら足に湿布を貼ったまま。
2人とも一目で怪我してますと分かるような格好だから騒がれそうで少し憂鬱。
「秋奈、終わったらメールするのよ」
学校の門の近くに車を止めたお母さんが心配そうな顔で私を見る。
それを無視して車を降りた。
嘘ばっかり言うお母さんなんか嫌いだ。
瞬がお母さんと何か話して車を降りてきて、お母さんは走り去っていった。
「秋、返事くらい」
「…」
「…分かった。もう言わない」
顔をそむけていると瞬の方が諦めたように息をついて、一緒に歩き出した。