私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
「え、永井も怪我してんの!?」
「どうしたんだよ」
「うるせ」
瞬も男子の友達に囲まれてるけど、そっけなく捕まれた手を払ってた。
六花は、まだ来てないか…。
どうしよう、理紗に言えばみんなにも伝わる。まぁ、どうせそのうち気づかれるか…。
「秋奈、ちょっと無視しないで…」
カバンの中から出した六花からもらったホワイトボードにペンを走らせる。
理紗が息を飲んだような気配がしたけど、とりあえず書き終えてそれを見せる。
『今声出ないの』
「え?…う、嘘でしょ!?なんで…」
私が知りたい。
ストレスが原因なんじゃないかってお医者さんは言っていたけど、記憶がなくなるほどのショックを何で受けたのか、何も思い出せないままなんだから。
うつむいたままでいると、両肩を掴まれて顔を上げると理紗に揺さぶられる。
「ねぇ、秋奈!嘘でしょ、久しぶりにあってそんな嘘…」
「離せよ。手」
割り込んできた声は瞬だ。
私の後ろに立ってる瞬を見ると、怖い顔で理紗を睨んでた。