私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
商店街の最寄りの駅で降りて、商店街側の出口から出る。
でも、そのまま商店街に行けるアーケードは潜らずに商店街を左手にしたまままっすぐの道を行く。
もしかしたらお母さんが気づいて商店街に来るかもしれないしね。
ついでにさっきからカバンの中でバイブを震わせてる携帯は無視だ。
しばらくまっすぐ歩いて、一方通行の道で左に曲がる。
まっすぐ行って、しばらく進んだところの十字路で左。たまり場がすぐ先に見えた。
「流石、知り尽くしてるな」
瞬がほめてるんだか、呆れてるんだかわからない声で言う。
小さいころからここら辺の路地で鬼ごっこしてたから道知らなきゃ、きよにぃに勝てなかったもんね。
周りに誰もいないことを確認して、閉じられたシャッターを瞬と2人で上げた。
『秋奈、逃げろ!』
緊迫した空気、普段見せないような怖い顔をしたみんな。
みんなが見てる先にいるのは、男2人…?
「ッおいおい、あの時のままかよ…」
瞬の言葉で我に返る。たまり場の中のこもった空気に思わず口と鼻を覆った。
少しだけ血の臭い。
太陽の光で中を照らされたたまり場は、荒れていて、壁や床に血の跡があちこちに残っていた…。