私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

 ドアを開けると、細い道が目の前に現れる。

 お店のバックヤードって感じの家の裏が向けられてる。

 ここの道を右に行くとさっきの一方通行の道で、左に行けば商店街の方。

 右左を見て、何もないのを確認してドアを閉めながら中に戻ろうとした。

 その時、一方通行の道の方に金髪が見えた気がして、ドアを開け放つ。

 もういない。でも、気のせいじゃなかったら…。

 一方通行の道へ駆けだす。

 後ろから瞬の声が聞こえた気がしたけど、それよりあの金髪を追いかける方が先だ。

 一方通行の道を左右見たけど、人影も車もいない。

 …気のせい、だったのかな…。

「秋!どうした!」

 追いついてきた瞬が同じように道を見る。六花は不思議そうな顔で私を見てた。

 気のせい、だったの?じゃああれは幻覚…?

 勝手に頬を伝う何か。

 なんでいないの?

 なんで会いに来てくれないの?

 なんで、いなくなっちゃったの?

 会いたいよ…、夏。

 無言で瞬に抱きしめられて、情けなく泣き崩れてしまった。

 夏、なんで…。分からないよ。

 どこにいるの?

 迎えにいくから、だから…戻って来てよ…。
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