私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
剣道部来ちゃったけど、特にやることもなくて隅っこで膝抱えてる。
チアって、体育館だっけ?
ちょっと行って、すぐ帰って来るなら瞬も怒らないよね…。
六花にちょっと行ってくるねと書いて見せてから立ち上がる。
「秋奈、行かなくても…」
にこっと笑って道場を出る。
靴を履いて体育館を目指す。もちろん他の部活に捕まらないようにしながら…。
さながら忍者だ。誰にも見つからず体育館まで来ると、外階段で2階まで上がる。
「でさ、永井くん連れてくるんだよ。意味わかんなくない?」
ドアを開けようとしたところで聞こえてきた理紗の声に手を止める。…何の話?
息をひそめてドアに背を預けた。
「秋奈さ、永井くんのこと好きじゃないって絶対嘘。私に取られんのが嫌だから協力もしてくれないんだよね」
「えぇ、でも…。秋奈ちゃんはただ仲介が嫌って言ったんじゃ…」
「好きじゃないなら、仲介くらい、いいじゃん」
あぁ、さっきの話か…。
心のどこかが冷めていく感覚に襲われながらも耳を傾ける。