私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
「まぁ、ちょっとくらいね~。でも、永井くんと秋奈ちゃんがくっつくの見守ってた派としてはざまぁみろだけど~?」
「はぁ?ひっどいこと言わないでよね!大体、振られてないし」
「はいはい。秋奈ちゃんには勝てないんだからさっさと諦めなって」
もう戻ろう。
盗み聞き感じ悪いし…。これ以上聞きたくない…。
ドアから背を離すと、理紗の大きな声が耳を刺した。
「はぁ!?あんなお荷物な子より私が劣ってる!?冗談でもやめてよ」
本音のような気がした。
…理紗は、ずっとそんな風に思ってたんだね。
お荷物…か。瞬も、…ううん。瞬にそう思われてたってしょうがいじゃん。だって、実際そうだもん。
手間がかかって、そのくせ生意気で…。本当にお荷物以外の何物でもないじゃん。
「ちょっと!それ悪口!」
「女子バレーみたいにほんとに来てくれなくなったらどうすんの!?」
「はぁ、手当できなかったらあんな子いじめの対象なのに」
「だからもうやめろって。ほら、練習再開!」
…泣くな。事実なんだからしょうがないでしょ。
手当が出来なきゃ、私なんかただの手のかかるお荷物なんだ。
泣くな、泣くな、泣くな…。
泣いたって、誰も同情なんかしてくれないんだから。