私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
「秋、どういう意味だ」
「……」
今まで、ありがとう。
「は?」
もう、大丈夫だから。
「何が大丈夫だ。…声も、記憶も、戻ってないのに、何が大丈夫だ」
…瞬の、荷物になりたくないから。
「…」
だから、もういいの。
もう、傍にいなくていいから。…今まで、ごめんね。
声出てたらよかったのにな。ちゃんと声に出して伝えたかった。
「…ふざけんな」
「?…ッ!?」
襟を掴まれたかと思うと急に引き寄せられる。
瞬の顔は完全に怒っていて、息を飲んだ。
「俺が今までどんな思いでお前といたと思ってんだよ!!」
「…」
「お前がどっか行かないように、変な奴に目を向けないように、ずっと…。俺は…」
なんで、悲しそうな顔するの?…私は、瞬の荷物じゃないの…?
細かく震えていた手が急に力を失くして離れていく。
瞬の顔は悲しげで、なんでそんな顔をするのか、分からない…。