私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

 大丈夫ですか?

「…なんだ?」

 …あ、声、出ないんだった。ホワイトボードもない…。

 足を指さして首をかしげると、男の人はズボンのすそを上げて、靴下も下げてくれる。

 診ていいってことかな?

 頭を下げてから足首を見たけど、特に捻挫もしてないみたい。

 これなら大丈夫かな…?顔を見て見ると、じっと見つめられていて、肩がすくんだ。

「…テーピング」

「?」

「できないのか?」

 …それは、やれってこと?痛いのかな…。

 ウエストポーチからテープを出すと、頷かれる。

 口パクで痛いところはとゆっくり聞くと、足首を指された。打ったなら、湿布とかいるけど…。

「湿布はいらない」

 心読まれた!?…いいなら、いいのかな…。

 よく分からないけど、とりあえずテーピングをしておく。本人がこれで納得するならいいのかな…。

 取り合えず基本的なのをやると、今度はそれをしげしげと眺められる。

 …なにこれ。まるでテストされてるみたいだ。

 男の人は1つ頷くと私に視線を向けた。
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