私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
「外国人への授業料免除の制度もあってね。落ちたとしても、僕が責任を持つよ。僕が誘いに来たから、宮田さんを必ず卒業へ導く。もちろん、君自身のやる気も必要だけどね」
守本先生は悪い話ではないと思うよと真剣な顔で見つめてくる。
渡されたパンフレットと、言われた言葉が頭の中でぐるぐる回る。
アメリカの大学なんか、1回も考えてなかった。
医学部なら6年は向こうで暮らすはず。いくら飛び級制度があるって言っても、そう簡単にはできないと思う。
考えてもみなかった選択肢を突き付けられてどうすればいいのか分からない。
校長先生たちも聞いてなかったのか驚いた様子と戸惑いがもろに出てた。
「…まぁ、今すぐ返事をしろなんて無茶な話だね。1か月、待つよ。そこの連絡先に連絡してほしい。飛び級と言っても、入学は来年の9月だ。だからと言って、準備は今のうちから進めたいから時間がそうあるわけでもないんだ。いい返事、待ってるよ」
「え、守本先生!?」
自由なのか、さっさと荷物をまとめて守本先生は校長室を出て行く。その後を校長先生が慌てて追いかけて行った。
「…宮田、両親とも話し合って来なさい。私とも面談をするよ」
担任の言葉に何とか頷いて校長室を出た。
いきなり留学なんて…。声も出ないのに、うまくやれるのかな…。それに、今ここを離れるのは嫌だなぁ…。
もやもやしたまま教室に戻って、誰にも何も伝えないで家へ帰った。