私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
「なんで、来ちゃったの?」
「…夏?」
「秋奈が来るようなとこじゃないでしょ?しかも、なんで1人なんだよ…」
胸に顔を押し付けたまま夏は弱々しい声を出す。
よかった…私の知ってる夏だ。
頭を撫でるとやっぱりふわふわしてて、ぎゅっと抱き着いてくる。
「私、ずっと夏のこと、探してたんだよ…」
「ッ探すなって、言ったのに」
「約束した覚えないもんね」
「っはは、何それ…」
秋奈らしいけどねとこっそりつぶやいた夏は甘えるように抱き着いたまま。
だから、頭を撫で続けた。
近くで見てよく分かったけど、夏傷だらけだ。
打撲の跡も、擦り傷も、たくさんあって痛々しい。
さっきの怖い顔は、ずっと耐えてたから?ずっと、怖かったの?それを隠すために仮面をかぶってたの?
…同じだ。私と、同じだね。
会えた嬉しさでか、勝手に涙がこぼれていく。