私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
商店街のすぐ近くまで来て、秋奈に身の危険がなくてすぐ見つけてもらえそうなところを探す。
…あ、八百屋の裏の段ボールのとこ…。
あそこなら定期的に誰か来るよな。
少し回って八百屋の裏までたどり着く。気休めで段ボールの上に秋奈を寝かせる。
「…秋奈、ごめんな」
俺は、ここに戻って来れるような資格もないし、できない。
立ち上がって、すぐに背を向ける。誰かと鉢合わせたらまずい。
…分かってるのに、足が止まる。
「秋奈も瞬桜もなかなか戻って来ないよな~」
「まぁ、秋奈はしょうがねぇけど…。なんか張り合いねぇよなぁ」
「大貴!あんたが張り合うとか言ってんじゃないわよ!」
「そーそ。秋奈とあんた比べても月とすっぽん…すっぽんに失礼か」
「お前ら!俺様を何だと思ってんだ!!」
あんな風に、バカやってたんだよな…。俺、あんなバカできてたんだ。
ここは、あったか過ぎる。俺には、もったいない場所だったんだ…。
勝手にこみあげてきたものを飲み込んで駆け出した。
ここにいたら、離れられなくなるから…。