私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
「はぁ…はぁ…」
「夏樹、毎回毎回我慢するからきついんだろ」
呆れた声で罵ってくるリツキに言い返す余裕もない。
兄貴が面白がって何度も女の子に命令したせいで頭がおかしくなる寸前だった。
その女の子は、兄貴の嘘にやっと気づいて泣き崩れる間もなく兄貴に壊されていく。
もう、嫌だ…。逃げたい。帰りたい…。
秋奈たちがいるところに、帰りたい…。
ソファーに寝そべったまま、目を閉じた。
目の前の現実も何もかも忘れて、闇に落ちた。