私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
「あ~あ、だからやめとけって言ったのに」
妙に楽しげな声。
振り返れば、やっぱりリツキがいて。蔑むようにそいつを見下ろしていた。
「…リツキ」
「夏樹も、なんで止めないかなぁ。あ~あ、この始末どうすんのさ」
リツキは笑顔を張り付けたまま、そいつに近づくと、足を振り下ろした。
何度も、何度も振り下ろされてもそいつは声を上げない。動かない。
しばらく足蹴りにしてたリツキは不意に俺を見て笑う。
「人殺し。しちゃったねぇ」
「…は?」
「夏樹のせいだよ。こいつ、死んだの」
俺の…せい?
俺が…止められなかったから?
俺が薬を取ったから?
俺が、俺が…。
俺が、こいつを殺した…?
「…違う。…違う!!」
「違わない」
「黙れ!!」
違う、俺は殺してない。こいつが勝手に…。
目の前に差し出される何か。
錠剤のそれは、何度かあいつが持ってた…。